「5、6回生きた猫」 [ペット]
「こいつは不憫なネコでなぁ」田舎育ちの巨大な雄猫を撫でながら飼い主のご老人は呟いた。
はぁ。
「そこの農家がニワトリを飼ってて、イタチ除けにこんな罠をしかけとるんじゃ」開いた両腕を素早く閉じて指と指をガッチリ組み合わせて見せた。
…トラばさみですか…。
「こいつはニワトリを盗らんのじゃ。ネズミはよう穫るがな」
ぼくはさっきから赤くミミズ腫れてかゆくなってきた二の腕をまだ消毒していないことが気になってしょうがないのですが、まだその如何に不憫かを聞いておりません。
え、まさかトラばさみに挟まれたりしたとか?
「何度もじゃ。イタチは一回もかからず、こいつばっかり何度も挟まれておる。毎度血まみれの大ケガじゃ」
何度も…死なないんですか。
「死なんのじゃ。なんで助かるのかわからん。医者にもわからんらしい」
学習はしないんですか。
「えさが仕掛けてあるからのう」
トラばさみに何度やられても平気な猫は、ボクの買ったばかりのフリースの手袋に爪をたて、ブッスブッスと噛み穴をあけている。
2007-12-15 20:44
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